経典にみる差別語を考える—「栴陀羅」・「女人往生」・「根欠」―(岩本智依・小笠原正仁 共著)

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同朋運動ブックレット⑪
 本願念仏は我々を解放するのか。この問いにどれほど真摯に応えてきただろうか。身分差別、性差別、障害者差別等々、布教現場では、これら差別を内面化するため経典による教化が行われてきた。大衆は「来世の救い」を灯として、これらの社会矛盾を耐えさせられてきたのである。本書は、その事実を明らかにし、本願念仏の救いによる「現世の救い」を求めた人々の叫びや営みに光を当てるものである。


《目次》

一、経典における差別表現
 1、はじめに
 2、「栴陀羅」と浄土真宗
 (1)『観無量寿経』における表記
 (2)「栴陀羅」への批判
 (3)本願寺教団と「乙達三七号」
 3、差別の正当化
 (1)業論と差別の内面化
 (2)十方衆生の救い
 4、『観無量寿経』における救い
 (1)善導大師の本願念仏観
 (2)耆婆・月光の諫言
 (3)王位からの追放
 (4)王舎城ーもう一つの物語
 5、経典に向き合う姿勢
 (1)仏典に現れる「栴陀羅」の他の事例
 (2)随順仏語・順彼仏願
 (3)業と卑賤観の内面化
 (4)経典の無謬性

二、「女人往生」を考える
 1、はじめに
 (1)仏教における性差別
 (2)「女人往生」と「変成男子」
 2、「変成男子」とは
 (1)二つの「変成男子」
 (2)専修念仏と「変成男子」
 3、経典と性差別
 (1)御同朋の教学の視点から経典を読む
 (2)親鸞聖人と性差別
 (3)今日の性差別と「第三五願」
 (4)「性の多様性」と経典

三、「根欠」を考える
 1、経典における身体障害(根欠)の譬喩
 2、経典と「障害者」差別
 (1)み教えと「障害者」差別
 (2)「第四一願」と「障害者」差別
 (3)念仏者にとって「障害」とはなにか

四、み教えが開く未来
 1、仏教と人権思想
 2、経典の示す未来

刊行の言葉