講座 同朋運動 第4巻

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発行 明石書店
 西本願寺において、部落差別からの解放をめざして取り組まれている同朋運動の理論、教学及び歴史を網羅し、同朋運動の現状と課題を明らかにする講座シリーズ。
 第4巻は御同朋の教学の構築に向けた諸課題を論じた「教学編」。


【目次】

〈第1章 御同朋の教学〉

第1節 「『御同朋の願いに応える教学』と『御同朋の教学』」
 ―第1項 あらためて「差別の現実から出発をする」ということ
 ―第2項 一人ひとりが教学を考えるということ
 
第2節 何が問われたのか
 ―第1項 「教学」に対する無謬性について
 ―第2項 「組織への忠誠」と「原理への忠誠」
 ―第3項 構築作業の占有化
 ―第4項 従来の教学の方法論の問題点
 
第3節 御同朋の教学の前提と方法論
 ―第1項 御同朋の教学の前提
 ―第2項 御同朋の教学の方法論

第4節 「教学の無謬性」の由来
 ―第1項 「由来」を問うということ(「系譜学」)
 ―第2項 「無謬性」の由来についての若干の指摘
 ―第3項 経典の差別表現について
 

〈第2章 差別の教学〉

第1節 業・宿業
 ―第1項 業報思想について
 ―第2項 差別的業論と中国浄土教
 ―第3項 業をめぐる誤った理解とその批判
 ―第4項 業報思想の機能
 ―第5項 業報思想のもたらすもの

第2節 真俗二諦
 ―第1項 課題化された真俗二諦
 ―第2項 真俗二諦の転用と親鸞の真俗二諦観
 ―第3項 覚如・蓮如から近世までの真俗二諦観
 ―第4項 近代における教団の真俗二諦観
 ―第5項 戦後教団における真俗二諦観
 ―第6項 我々が向きあうべき真俗二諦

第3節 変成男子
 ―第1項 性差別と変成男子
 ―第2項 専修念仏と変成男子
 ―第3項 御同朋の教学と変成男子


〈第3章 信心の社会性〉

第1節 信心の社会性で何が問われたのか
 ―第1項 信心の社会性とは
 ―第2項 「差別の現実からの出発」と「御同朋の願いに応える教学」をつなぐ「信心の社会性」
 ―第3項 信心の「閉鎖性」について
 ―第4項 真俗二諦論と「信心の社会性」
 ―第5項 「批判性」と「社会性」

第2節 同朋運動における戦前昭和期の信心至上主義
 ―第1項 一如会の結成
 ―第2項 信心至上主義とは
 ―第3項 社会観・差別観について
 ―第4項 「懺悔」の思想

第3節 信心の社会性
 ―第1項 浄土真宗本願寺派における信心の説明
 ―第2項 基幹運動をすすめる教学〔1990年度東京教区意識調査〕について
 ―第3項 信心の社会性―教団の基幹運動の歩み


〈第4章 御同朋の教学の展開〉

第1節 悪人
 ―第1項 糾弾会と安居判決
 ―第2項 「非僧非俗」と「愚禿」の名告り
 ―第3項 濫僧と屠沽の下類
 ―第4項 悪人という立ち位置

第2節 往生浄土
 ―第1項 はじめに
 ―第2項 「往生浄土」と「現生正定聚」
 ―第3項 「現生正定聚」の意義
 ―第4項 「往生浄土」の教えに生きる

第3節 同朋運動と報恩行
 ―第1項 融和主義と報恩行
 ―第2項 教団における報恩行
 ―第3項 宗制における報恩行
 ―第4項 親鸞における報恩行
 ―第5項 親鸞と政治国家

第4節 同朋運動と『教行信証』
 ―第1項 同朋運動が提起する「聖典」に学ぶ視座
 ―第2項 『教行信証』とは
 ―第3項 同朋運動が問う『教行信証』の中の課題

第5節 同朋運動と『歎異抄』―『歎異抄』の流罪記録についての一考察―
 ―第1項 流罪を記録するということ
 ―第2項 『教行信証後序』における親鸞の経験の記述
 ―第3項 特に『歎異抄第一条』について
 ―第4項 “持戒念仏”と流罪の記録 


〈第5章 教学と布教〉

第1節 経典と差別
 ―第1項 経典における差別表記
 ―第2項 経典における差別の論理
 ―第3項 念仏者にとっての経典

第2節 差別法話
 ―第1項 「非人教化」と差別
 ―第2項 文書伝道と差別
 ―第3項 差別法話の構造


〈第6章 現代の課題と同朋運動〉

第1節 原発と布教
 ―第1項 原発事故の現実
 ―第2項 教団と原発問題
 ―第3項 布教における原発問題

第2節 「寄り添い」と布教
 ―第1項 「寄り添い」とは
 ―第2項 「自死・自殺問題」への取り組みと課題
 ―第3項 「寄り添う布教」から「解放の布教」へ

第3節 個人情報と布教
 ―第1項 人権侵害となる布教
 ―第2項 過去帳等開示問題からの指摘
 ―第3項 個人情報の漏えいや暴露は、差別か
 ―第4項 再点検―過去の布教使問題発言を個人情報保護などの観点から―
 ―第5項 個人情報保護法と布教
 ―第6項 プライバシーと布教
 ―第7項 布教使(僧侶)の守秘義務
 ―第8項 布教姿勢

第4節 インターネットと同朋運動
 ―第1項 「部落差別解消推進法」の成立
 ―第2項 インターネット上の差別
 ―第3項 インターネットの役割
 ―第4項 今後の課題

〈補遺1 部落差別の現状と「部落史の見直し」〉
 ―1、問題の所在
 ―2、部落問題の現状から考える―「どこが部落か」「誰が部落出身者か」―
 ―3、歴史から考える―「部落史の見直し」―
 ―4、地域社会の変革をめざして
 ―5、解決に向けて

〈補遺2 甦る優生思想―差別の視点から見た相模原事件を通して―〉
 ―1、相模原事件
 ―2、甦る優生思想
 ―3、差別の現実に向き合う


【執筆者】

麻田弘潤/麻田秀潤/井上慶永/岩本孝樹/岩本智依/小笠原正仁/奥野宣秀/奥本武裕/梯 良彦/神戸 修/佐々木恵雲/嶋津弘隆/武田達城/登尾唯信/直海玄哲/伯水永雄/藤井聡之/藤澤正徳/藤満智徳/森本覚修
(五十音順)